なぜ人は創作するのか

http://d.hatena.ne.jp/tosakusha/20060629/1151562002
「物語なんて同じパターンばかりで既に大量の作品が存在するのに、さらに創作をしようとする人の心理が不思議だ」みたいなことを言っている人がいたんですけれど、問題として通じるところがあるようなないような。

DB問題からは外れるんですが、なぜ人は創作するのかは、
根源的で面白いテーマと感じます。
我々が何も知らない(何も分からない)というところ(探究心)が、
創作の根源の一つかなと私は思っています。経験への欲望みたいな…。
観賞する経験と創作する経験は経験者にとって全く違うものですから…。
カント風に云うなら、
「我々が学びうる創作というものはない。
我々は創作するということを学びうるだけである」
みたいな感じがします…。
純粋理性批判」のなかの言葉です。オリジナルは
「我々が学びうる哲学というものはない。
我々は哲学するということを学びうるだけである」

[Maybe-na]新しくなければ読んでもらえない

2ちゃんねるだったかどこだったかで、『Mr.FULLSWING』を「過去の野球マンガのいいとこどりをしてるだけなんだけど、野球マンガを初めて読む奴にとってはこれがオリジナルなんだから、面白いと思うのも当然だと思った。」と評してるのを読んで、なんか深く納得してしまいました。いくらパクりやつぎはぎと指摘しても、「お年寄りはそう思うんですね」であしらわれちゃいそうな強さを感じたのですよ。んで、作品が世に出たのが新しいというだけでここまでの影響力を持てるってことは、創作しない手はないってことでもありまして、世代間の断絶は実に便利だなあと思うわけでございます。古典なんて誰が読むか! って感じで。

[syujisumeragi]新しさを制度化すること

はじめまして、倒錯社の皆様。よろしくおねがいします。


それでですね、Maybe-naさんは違う人が同じことを言う場合を想定していうるんだけど、僕は同じ人が同じようなことを言っても新しく見える場合ってあると思うんですよ。小林よしのり氏が、10年も連載が続くとゴーマニズム宣言の流儀を知らないで批判をしてくる人間がいる、と言っていました。そして、どういうわけかRIR6くんも以前同じようなこと──自分が過去にどういう「前科」があるのか知らずに同じことを説教してくるオッサンがいる──を言っていてふーんそうなのかと思いました。我々のような泡沫ブロガーはあまりそういうことを意識することはないんですけれど、でも最初からずっとブログを読んでくれている人っていないよね、と言えば納得していただけるかと思います。


それで、僕が注目しているのは、小学館がやっている「小学■年生」とかのシリーズなんですね。毎年読者が入れ替わることによって、たとえ同じことをやっても新しく見える。世代間の断絶を制度的に利用していると言えるのではないか、と。オチはないですけどそんなことを思いました。

[Erlkonig]創作をスポーツに置き換えてみる

「試合なんて同じパターンばかりで既に大量の前例が行われてきたのに、今さら自分から試合に出ようとする人の心理が不思議だ」
まあアナロジーを信じすぎるのは危険ですけど。

[mizunotori]創作を料理に置き換えてみる

「料理なんて同じ味ばかりで既に大量の食事をしてきたのに、さらに同じものを食べようとする人の心理が不思議だ」
アナロジーアナロジー

[nisemono_san]料理の味付けがいつもしょうゆ味

俺なんか料理の味付けがいつもしょうゆ味だ!なんかステーキソースがどうのこうのとか言っている奴は死ねばいいのに!とかそういう話になってきそうだ。

[kagami]カテゴリーの違いについて

創作側と観賞側は全く別物ではないかなと思いますね。
創作側と観賞側には領域の隔絶があります。
例えば料理にしても、料理を作ることと料理を食べることは全く違うのに、
料理を食べることで、料理を作ることを理解できると考えるのは単純なカテゴリーエラー
かと考えております。ただ、作る方にしても食べる方にしても料理という存在について
考えることについては、カテゴリーは一致します。
カテゴリーを混同することについては、注意深くあらねばならぬかなと思っております。

[kagami]アナロジーだとこうですね。

「料理なんて同じ味ばかりで既に大量の食事をしてきたのに、さらには料理を作ってみようとする人の心理が不思議だ」
こういったアナロジーの問題点は、作ることと消費することのカテゴリの違いを無視して混同しているところにあります。

[kagami]パクリやつぎはぎ

創作物がパクリやつぎはぎだらけであることは、好意的に見れば優れた作の模倣な訳で、
それ自体はたいして問題はありませんが、問題は、消費・観賞の側に、創作側が模倣した
原典への経路が閉ざされている、もしくは自ら拒否しているという問題がありますね。
共通教養が細分化して消滅したことが、経路が閉ざされた最大の因子かと思います。
オタクイズデッドの問題とも繋がっていますが、原典を知りたいという欲望が機能しなく
なったという問題が大きいかと思います。パロディが、原典抜きのパロディとして
流通しているのが、現代文化ですね。

[natu3kan]作家というブランド。崇高な創作様。

予め、マジメな議論をぶち壊すことをおわびしておきます。
 
なぜ、創造するのか、作家という肩書きが欲しいからってのはどうだろう。
もちろん、それが全てってわけじゃないんでしょうけど。
作家になったら、こう一目置かれるような気がしませんか?
批評家という肩書きがついたら、やっぱり周りの人にチヤホヤると思いませんか?

自分は創作の才能はないし、作家になるつもりもありませんが。
もし作家になれたら。作家先生って呼ばれたい。呼ばれてちやほやされたいなあとは思います。
なんか、普通の職業より一つ上って感じがします。
新人賞の厳しい審査を抜けたりとか、普通と比べてなれる可能性が低いからなんでしょうけど。
こう選民感が。選ばれしモノって感じしません?
 
偉そうに内輪で批評して、批評家気取りとか作家気取りになってるようなワナビっているじゃないですか。
ま、オレとかのことなんですけれど。
彼らって書く動機ありきというより、肩書きありきで書いてる気がします。
 
だって、そういう肩書き目当であることに自明的でないヤツが書く作家論とか批評ほど粗探しばっかりなんですもん。
コンセプトがガチガチの本格ミステリなのに、人間が書かれてないとか。

……と個人的感想をならべてみたり。

  • [Erlkonig]「お金を儲けるため」よりは現実的で、程度問題として一定量はありそうな動機だと思います。作家に限らず学問でも技術でも、権威付け全般に言えそうですけど。

[sirouto2]アウラからフェティシズム

近代的作家がアウラを発する存在だったのに対して、
今や作品の固有性は読者のフェティシズムの方から
生じます。つまり神秘は無意識データベースにあり。

[sirouto2]ここにkagamiさんのコメントがあったと思うんですが…

いったん更新に反映してるのに後で見ると消える現象は最初の日にも経験しました。自分の書いたものを全部エディタに保存しておくのも面倒ですけど、この調子だとそのうちアクシデントで一日位消えそうですね。
それでkagamiさんのコメントは、えーとアウラ型とフェチ型の作家がいるみたいな話ですか。これはですね、私的にはアウラ→アーティスト・フェチ→クリエータという風に分けて考えてます。後者はどちらかというとエンジニアに近いんですね。萌えDBのエンジニア。例えば同人作家で、専業で食える程売るなら、ひたすら323絵(エロゲ塗りとかでもいいですけど)を再現しないといけないでしょう。作家の読者性が重要視される同人界では無個性なのがいいとしたもので、これはアーティストと対極的ですが、しかし確かに何かをクリエイトしてはいる。

  • [nisoku2] 私も先ほど「この人の日記を書く」から登録した記事が、一度反映された後、なぜか消えてしまったのですが(しかも、2回)、「編集」から登録しなおしたら今度はちゃんと消えずに残りました。あまり根拠のない仮説になるのですが、「この人の日記を書く」だと消えやすいけど、「編集」だと消えにくいなんてことがあるんですかね?それとも、ただの偶然?
  • [sirouto2]たぶん、こういうことではないでしょうか。Aさんが長文を書いている間にBさんが編集したとします。Bさんは更新が反映されているのを見ていますが、その後でAさんが長文を書き終わって更新したときに、Aさんの編集窓にはBさんの書き込みデータはないので、上書きで消してしまう。これが衝突なんでしょうね。データベースにはそういう衝突を防ぐシステムが用意されていますが、ブログは基本的に一人で書くんでないんでしょうか。よく知らないですけど。
  • [Erlkonig]まずメモ帳に記事を書いて、書き込む直前に編集画面を呼び出すのが他の人の記事を消さないためには有効だと思います。何分も前に呼び出した編集画面にそのまま書き込むのは厳禁ということで。

[kagami]あらら…消えちゃってますね(^^;

確かに私の書き込み消えちゃってますね…残念(^^;
sirouto2さん、お答え頂きどうもです〜。「アウラ」「アーティスト、フェチ」「クリエータ
の三種のカテゴリは上手な分割法だと思います。こんな感じかなと。
アウラ」(イデア的創造行為)←「アーティスト、フェチ」(原初的欲望)→「クリエータ」(商業的創造行為)

[sirouto2]二分法

神秘性 作家
個性 アウラ アーティスト
DB フェチ リエータ

誤解を招く書き方でした。アウラとアートがセットで、もう一組がフェチとクリエートの二種類ですね。