選考手続参加の回想あらすじ、と反省

を書いときます。何かの参考になりますでしょうか…///
――内容面については、萌え統一理論のスレ記事が別に立ってます。
 

  • 応募開始初日ころ、応募が殆どポストされてなかったので、ちょびっと書き下ろし。挫折。*1
  • 次に視たときには16作品ぐらいポストされてた。もう間に合わないから、ブクマ投票に切替え。
  • <夏、萌え、美少女 だけからでは、内容的に何を期待されてるのか が分かり難かった。
    • <方向的には、新しい萌えジャンルの開拓なのか,オタクお約束の中での表現技術競争なのか…

 

  • 萌理賞はてブ投票,倒錯社協賛賞の関係や、<両賞の目的が不明確
    • 当初、ブクマ コメントでの意見を加味補正するような話があったが、知らない間に倒錯社公開編集会議が起ち上がっていて、協賛が決まっていた。そして、私もなし崩し追従的に参加、追従的に投票という流れに…。
    • 結果的に、はてブ投票は私だけだった模様…。倒錯社関係者(⊃ブクマ仲間/お気に入りサロン)以外の人に対する認知度低く。

 

    • sirouto2さんが講評を始めたのを確認して、ブクマ投票/コメント開始。3つぐらい選ぶと決める。自分が多数読者の代表に成りきれると仮定。技術的に難解でないこと。私の知らないネタを含まないこと。内容がすとんと私の心に落ちてくること、物語の世界に入っていけること。
    • 専門家から視た「ここはこうすれば萌えるはずだ」という理論からではなく、「なんでだか上手く言い表せないけど、とにかく萌えた!!」と読者の立場からの評価。関数型programmingで言えば、人間心理をhackした個々の関数を組合わせて萌えprogramを創るのではなく、自分の心を道具/モデルに使って、simulation結果から1コの巨大関数をフラットに構成する。
    • なるべく多数の参加を目論む「お祭り」だと思ったので、良い面しか評価しない基本方針。*2 /しかし実際には、かなり真面目な技術的な切り口からの講評採点。
    • 具体的にはブクマ『囚人の共有知』を視てください。http://b.hatena.ne.jp/mind/?word=%E8%90%8C%E7%90%86%E8%B3%9E
    • 結果的には、分り易い作品から選ばれている。3回目を読まさせた作品は没。伏線は2度読みまでに回収されるべし。
    • 内容的には、幼馴染み,ツンデレ,女教師,プチ百合。というお約束もの。
    • 内容ジャンルに、オーソドックスで共通認識が取れてるお約束ものを選ぶなら、洗練された表現技術力、文章構成上の冒険で勝負して欲しい(すなわち、伏線、隠喩、ダブルミーニング、irony、謎解き)。逆に、内容が新しいジャンルを開拓するようなものは、表現技術面では奇をてらわず丁寧に盛り上げて落とす分り易いスジガキを。両方冒険すると(一般受けという面では)失敗すると思う。
    • 擬人化/異形ものという、非日常世界は、感情移入のために、描写力と文字数が条件。時間差ものに、いまいち萌えず。
    • 落ちなしものは解り難い。想定読者の誰にでも「同じ落ち/後味」を予期できる、予断の連続的な流れに乗せて衛星軌道に打ち上げることが必要ではないか。
    • 唯一のイラスト作品は、あのラフ画がここまで仕上がるのか、と感心しました。http://marie.saiin.net/~nitino/kitchen/rnote.php?u=diary/junk/20060630.htm 仕上がってる方のネコミミ,メイド,双子ちゃん…を薄着,冷やうどん…を「夏」ってことにして応募されたら、当確だったかも!
    • …ちなみに、個人的には、人間の自律的判断を推し進めた行為が、その意図とまるきり反対の結果を生ぜしめてしまう典型悲劇(と残された微かな希望)が一番好きです。

 

    • 反対に、理論的に考えてみる。根本的に、「萌え」の喚起には対象に対する感情移入の成立の有無が決め手だと思う。よって、心を読む訓練を積んでいない人にも、心が読めてしまうような必然的な仕掛け/カラクリが欲しい。
      • じゃんけんと同じで、対象について、過去の環境に影響された言動、現在の言語外の表情/行動から、お約束の経験則に当てはめて、読み込み予測させる。対象をチューリングマシン(λラムダちゃん)として捉える。万能TMの本領が発揮されるのが、まさに、模倣能力,≡うそつき能力であるから、ツンデレが萌えの典型キャラであることも、納得のいく話である。λちゃんの「心(真意)を読めた」「嘘を見破れた」と感じたとき萌える。
      • さらにメタに立つと、作者としては、読み手のこともTM(Δデルタちゃん)という対象と捉えて、Δちゃんがλちゃんの心理模倣をできるような記号文章表現の条件を揃えてやって、Δちゃんの心理操作するということ。ミステリよりは相当に敷居を低くすべきではないか。
      • そういう記号パーツを、伏線、緊張、解決と暗示的に揃えてΔちゃんに順次入力してやる。そうすれば、Δちゃんに対して、「いま自分がλちゃんの心を読ませられている」とは意識させないままλちゃんの心を読ませられる。作者の意図がベタベタ見え見えで、「鏡の法則」のように腐臭を放つときは、小道具とか工夫して、レモンを一かけ爽やか魔法を…

 

  • (萌理論blogの読者層は推測できたが)<倒錯社賞の読者層が不明確
  • さらに、<自分以外の選者の嗜好/指向が不明確。馴染みのidの人は半分くらいなので。
    • 空気を読むことに失敗…;→結局、ブクマからのコピペ+αで参加。http://d.hatena.ne.jp/tosakusha/20060630/1151660262
    • いくつかの問題について話し合う過程で、少しずつ発言者のキャラと指向性が観えてきたような気がする。
  • 当初は作家参加を検討したこともあり、もし作品を酒の肴にして「内輪の宴会」で盛上がるのが目的なようならば、選考者/自分らも何らかの隙を暴露しておかないことには不公平だと感じた。(<ヲチャ/殿上人の情報非対称性問題)
  • なんにしても、「推敲と選考とは同質の作業」だと実感できた、というのが収穫。作家志望の方々も、ぜひ経験してみると良いです。文句のない作品と「不完全」な作品とを何度でも比べて、○×付けと手直しを繰返すと、手応え(「上手く書けた」感)が掴める。なんかこれは論述試験と同じですね。仲間内で見せっこして、作者を演じたときの「上手く書けた」感と、評者を演じたときの「上手く書けてる」感が一致したとき、もう全員が上級者となっているはずです。

(おしまい ――なんか、(更新してない)日記から転載してきたような書き方だな><)

*1:萌美が姉を回想するモノローグ、10行ほど残滓

*2:ダメ出しをすると、自らの暗黒面を覗かないわけには行かなくなる///;